メールマガジン『リーダーへの提言』
2012年3月
『人から学び高められる』
剣道に「遠山の目付」という言葉があります。相手を遠い山に見立て
て動きの全体を見ろ、という教えです。「遠目に相手を見つつ、一点に
集中する」この一見矛盾するような攻撃の構えは、門外漢には計り知れ
ない修行の末の奥義なのでしょう。
全日本選手権優勝経験を持つ剣士、寺本将司氏にも壁に当たった日々
がありました。そんな時、一本を取りにいかない判定勝負の練習試合を
重ねてみたそうです。すると、力まかせでない新境地の剣道が見えてき
たのです。「対戦相手が力を引き出してくれた。礼に始まり礼に終わる
のは、自分を高めてくれた礼という意味もあったのだ」と深く感じ入っ
たといいます。違う視点から相手を見た、それは遠山の極意を見極めた
瞬間だったに違いありません。
型を守り、型を破り、既存の考えから離れ新境地を開拓する。寺本氏
がたどり着いた答えのように、どんな道も人と接して初めて自分に気付
き、学び高められるものです。新しい自分を築くためには、人と真摯に
向き合うこと。そして礼を尽くす心を忘れないことです。